**ロゴマーク、PSMとは**

 心身医学は英語でPsychosomatic Medicineと言います。psycho=精神、soma=身体 medicine=医学、つまり精神と身体をつなぐ医学という意味です。当院のロゴマークにあるPSMとは、その頭文字を取ったものであり、心身医学の略語なのです。

**心身医学と心療内科**

 通常の医学的発想は、病気の原因をみつけ、そこを標的にして治療に当たるという形を取ります。それは外傷の治療や、感染症のように原因が明確な疾患には強力な効果を発揮します。
 反面、「症状があるのに検査では異常がない」、「通常の治療を行っても予想に反して効果が薄い」、「身体的訴えと心理的訴えが混在している」というような場合、従来の一点集中的なやり方では治療がうまくいかない場合があります。


 このような問題の中には、身体的問題と心理的問題が、微妙に複雑に絡み合って一つの病態を形成している場合があります。その病態に対して、心と体の関係を解明していく医学的分野が「心身医学」であり、このメカニズムが病態に色濃く影響している疾患を「心身症」といいます。そして、心身医学を学問的基礎として、治療に当たるのが「心療内科」なのです。

 現代医学の中心課題が「症状に至る原因を突き止め悪い部分を排除すること」であるなら、心療内科の考え方は、「症状を身体、心理、環境要因など多面的・総合的に評価し、良い部分悪い部分多すぎる部分足りない部分などのバランスを回復することにより症状を緩和すること」と言えます。

 この二つの考え方はどちらが良い悪いというものではなく、病状・問題の質によりどちらがより有効かということなのです。
 例えば今、激しい喘息発作が起きているとしましょう。それに対して、「心と体が〜」と言っているより、ただちに吸入・点滴など救急治療を行うべきです。しかし、通常必要な治療を行っても発作をくり返すとしたら、心理的な要因を考えた方がよいかもしれません。

  心療内科的アプローチとはBio(生物)-Psycho(心理)-Socio(社会)-Ethical(倫理)アプローチであり、疾患中心というより人間中心の医療を目指すものです。健康とは何か、よりよい人生とはどういうものなのか、命の原点に立ち返り、発想の転換をして皆様とともに健康について考え実践していけることが私の願いです。

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