自律訓練法は、基本的には形から入って、頭を使わず、理屈に走らず、基本公式を念仏のように唱えることで、受動的集中→変性意識状態に到達する練習です。
しかし、こういったイメージをちょっと念頭に置くと、やりやすくなったり、モチベーションが高まったりするのではないかなと思います。
自分の身体に対して受動的集中をするとはどういうことかを説明します。
基本公式として、手足が重い、暖かいというものがありますが、人間の身体がリラックスすれば、自然に手足は重く、暖かく感じます。逆に重い、暖かいというイメージに近づけば、リラックスした状態になります。同じ結果に到達するにも、リラックスしろと言われるより、具体的な感覚をイメージする方がやりやすいですよね。
問題はそのイメージにどうやって到達するかです。「重くなれ、暖かくなれ」とか「重くしよう、暖かくしよう」というのが能動的集中です。それではリラックスから遠ざかってしまいます。その公式をくり返し、重いものをもった時の感覚、暖かいものにふれたときの感覚を思い出しながら、手足に意識を向けます。よーく観察していると、何かしら変化を感じるものです。どんな些細なものでも重要ですから、注意深く観察します。自分の身体を、大自然の風景を眺めるように眺め見てみるのです。ささやかな変化を発見すると、「おっ、何か重いような、暖かいような・・・」という感じを発見します。さらによーく観察しますと、その感覚がよりはっきりしてきます。そうやって、自分の身体の中に新しいものを発見していきます。分からない時は焦らず、分かるまでまてばよいです。大事なことは、どんな些細な変化も大事にすることです。
このように、先入観、効果への期待、いそぐ気持ちなどから離れ、純粋に自分の身体を眺めるようにな意識の向け方が受動的集中といえます。そうして、身体の中に何かを発見する喜びを感じていると、特殊な意識の感覚を得られます。目は閉じて、ぼんやりしているのに妙に頭がさえた感じがします。それを変性意識状態といいます。そこから覚めた後は、頭の疲れが取れたような感覚を感じると思います。
これは先に述べましたように、あくまでも自らの体験を通した説明なので、反論がある人もあるかもしれませんが、一つの話として受け止めて頂ければ幸いです。
